「国等の環境物品等の調達の推進等に関する法律（グリーン購入法）」が施行されたことにより、 行政機関や公共団体をはじめ、企業にも環境負荷の少ない製品を選択する取り組みが求められるようになりました。 この法律は、環境に配慮した製品（環境物品）の利用拡大を目的としたもので、プリンター消耗品もその対象に含まれます。

企業が求められる取り組みと背景

持続可能な社会の実現に向け、製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らす動きは年々強まっています。 メーカーはグリーン購入法のガイドラインに沿った情報開示や、適合製品の開発が必要となり、 特にトナーカートリッジ・リサイクル素材を用いた消耗品ではその傾向が顕著です。

プリンターや複合機で使用するトナーカートリッジは使用後に廃棄されやすい製品であるため、 回収・再資源化の仕組みづくりが重要視され、法的にも社会的にも積極的な取り組みが求められています。

トナーカートリッジに求められる環境配慮

トナーカートリッジの環境基準として、主に次のようなポイントが重視されています。

1. 回収・再使用・リサイクルへの取り組み

• メーカーや販売店による回収プログラムの整備
• 再使用可能な構造・素材の採用
• 再生材を活用したカートリッジの開発

多くのメーカーが独自の回収スキームを構築し、使用済みカートリッジをリサイクル工場へ戻す仕組みを整えています。 これにより、廃棄量の削減と資源循環が実現されています。

2. 材質・設計の工夫

環境負荷を抑えるため、部品を分解しやすい構造にしたり、再生材を使用したカートリッジの開発が進んでいます。 こうした設計はリサイクル効率を高めるだけでなく、企業の環境配慮姿勢を示す要素にもなります。

3. 消費者に負担を与えない仕組みづくり

回収の手間を減らすために「送付用回収袋の付属」「無料回収サービス」などの仕組みを整え、 返却を促す代わりに価格を抑える取り組みも増えています。 これにより、消費者が環境配慮製品を選択しやすくなっています。

トナーカートリッジ業界に広がる取り組み

グリーン購入法の普及に伴い、トナーカートリッジの開発・販売を行う企業では、環境配慮を前提とした製品づくりが一般化しています。 環境基準を満たすことは、公共調達の条件となるだけでなく、企業の社会的責任（CSR）を果たす上でも欠かせません。

今後は、循環型モデルの高度化やカーボンフットプリントの可視化など、より高い環境基準への対応が求められることが予想されます。 企業にとっては、単なる消耗品としてではなく持続可能な製品ライフサイクルの一部として捉えた開発・販売が重要になるでしょう。